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フクロウくんのポンコツ的生活
musisasare.exblog.jp
そよ風
2006年 05月 08日 |
風の速さが心地よい日々が続いている。

冬の強風が息苦しく感じられたり、速度によって苦痛にもなり心地よくもなる。
そんな風の存在は”人生”と同じ意味に思えるときがある。

風が物を劣化させる。雨を呼んだり風を呼んだり。
そうやって、変化を起こすことが風の役目なんだ。

人間関係でも同じようなことがある。
変化の仕方はケースバイケースだけど、お互い嫌いな人間関係でも、結果として、今までとは少し違ったものへと変容してゆくことがある。
お互いが少し大人になったかな?と思えたから、今までよりは少しは仲良くできるかなって、(多分お互い)思えたり。
本当にそうなっていることもあるし、やっぱりまだダメかって逆戻りすることもしばしばある(^^;。

お互いが変わってゆくことって、面白い。
距離的に疎遠になると、だんだん心も離れてしまうものだけど、自分が知らないところでそれぞれがいろんな体験をして変化していること。そのことに思いを馳せると、自分一人で落ち込んだりしていることでさえ、意味があるような気がしてくる。

この間、親友と電話で話ができた。
その学生時代の親友が、他の友達と東京でまた出合って、最近一緒に仕事を始めた。
その仕事を始めたメンバーは全員友達なんだけど、電話が来たときは、(仕事明けなのかな?)みんな集まって食事をしている最中に、僕のことを思い出して電話をしてくれたようだ。

「いいなぁ、みんなで・・・」
「フクロウも来れば?」
「東京まで行けるか(^^;!」

岩手と東京は、風で繋がっている。
そう思うことは、今の自分には出来るんだけど、どうなんだろう。
同じ空間で、一緒に変化してゆける仲間がすぐ近くにいてくれること。
それは幸せなことなんだろうな。
・・・上手く言えてないけど、要するに羨ましい気持ちになった。
そんな中で、
「でもさぁ、さっきも話していたんだけど、フクロウって、変わっていたよな」
「(まあそうだろうけど)なんで?」
「Iさんが卒論で上手く書けなくて”私こんなにダメな人間だって思わなかった”って落ち込んでいたときに、余計落ち込むようなこと言ったんだろ?」
「何言ったの、オレ?」
「”そんなこと分かってた”って。」
こんな会話があった。

・・・あー言ったかもしれない。いや、言ったな。
当時、何事にも突っ張っていた僕は、男同士でも結構頻繁に見られた傷のなめあいが、すごく嫌だった(今はたくさん慰めて欲しいけど)。
女の人に対してもそうだったから、賛否両論、あいつはあほな奴だと言いながら愛されるか、ありゃダメだと相手にしてもらえないかのどっちかだった。

Iさんは、そのあと一緒に畑を耕すくらいに仲良くなった大切な親友だけど、”(ダメだと)分かってた”と言い放った当時は、僕は彼女が少し苦手だった。キレイな思想や心情はそれはそれで間違いなく自分に内包しているものなんだけど、その自分が持っている毒の部分・出来ない部分も分からないとダメなんだって思っていた。そんな中で、彼女は何事にも全肯定主義者っぽくて、宗教とか神秘主義的なものにも関心があった。そのキレイなココロにあるヒヨワな部分をパチンって叩くつもりで、そう言ったんだった。

無理して嫌いな論文が上手く出来ないという、自分の身に起こっている不条理を、彼女がどうやって跳ね除けるのか、という部分に対しては、僕は着目していなかった。
克服するんじゃなくて、弱点を認めることを訴えたのかもしれない。
と、今は思っている。

でも、このエピソードは僕の正直な心理を少しも物語っていない。
正直に表現するとこうなんだ。

そのことを先日の電話で思い出したり懐かしんで、偉そうな自分に呆れたりしながら、ついでに自分の(日常の)馬鹿さ加減も思ったりして、ホント精神状態や心理的な発達過程って、単にタイミングの所作なんだよなって感じた。自分の弱いところから逃げたい気分とか、つまり誰かに頼りたいときに愚痴をこぼすのって、要するにその都度安定感を求めているだけなんだ。ここで、役目はクッキリ別れはするものの、一人の人間そのものとしては僕はあなたであなたは僕だということ。君がいてー僕がいるー♪ということ。

自分の弱い部分に正直になりたかったのは、自分だったこと。
たまたまそういう話の流れになったから、僕がパチンって叩いただけのこと。
自分のことを正直に話す順番が、たまたま彼女の方だっただけのことだ。

だけど、そんな中でも時間は面白い。
お互いが補完的になれるように、人生とか経験を用意してくれている。
当時僕が個人的な心情から叩いた言葉が、時間を経て、風を受けて、ひとまわり強くなった彼女のココロの中で、今を良く受け入れるためのキーワードのひとつになっていること。
そして僕にとっては、自分のかつて吐いた言葉がいつの間にか自分のほっぺたを叩いてもいること(笑)。

「フクロウって、俺たちをでっかい目で見ていたんだよな!」
「あぁそうさ!」

お互い電話口で酔った口調で叫んでいたけれど、この二人は弱いけどアホで正直だっていう、それ以外の自分にはなれない素直さを自覚していた。今の自分にはそれで精一杯だ。

風で繋がる。変化もする。
強く吹けば息苦しくもなる。
そうやって、生きていることを、僕はずっと続けていく。
by bigbirdman | 2006-05-08 21:46 | 独り言 |