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フクロウくんのポンコツ的生活
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冬の足音がする?
2006年 11月 05日 |
11月らしく、夜は冷え込む。
最近の休みの日は、マイフィールドで鳥を見たり、畑を見たりして過ごす。
折りたたみ式の、、海岸で日焼けするときとかに使う・・・背もたれと足を乗っけて横になる椅子(恥!)を出してきて、秋口なんかは昼寝をしていたんだけど、11月はダウンジャケット着ないと寒くてダメだ。・・・でも、昼寝は絶対必要。
冬の足音がする?_e0029553_23122381.jpg

木の上のダイサギ。
こいつはバランスが悪くて、ちょっとは頑張っていたんだけど結局すぐに飛び立っていった。
冬場のサギ類は、透明な大気の中、純白の羽が太陽に輝くんだ。
その白さを誇らんばかりの悠々とした姿に、巷の洗剤業者は自社製品にサギという商品名を付けたいのだが、如何せん別のイメージが悪すぎて二の足を踏んでいるという(ウソ)。



今朝は、早起きしてフィールドに出ると、ハクチョウ4羽が鳴き交わしながら飛んでいった。
この時期、ハクチョウが来はじめる。その前に10月の下旬にマガンが今年もやって来ていたんだ。
代わる代わるやってくる鳥達を見ていると、僕はマイフィールドというステージの観客となっている。ハクチョウが頭上を飛んだとき、「あ!写真!」と思ってカメラを探したんだけど、肝心なときに必要なものが出てこない、いつもの自分のパターン。
あ~あ、勿体無い。
そう思うけど、あの羽音や、何言ってんだか分からないけど、確かにココロが通っている生き物が発する声は、写真には残らないんだって思うことで、写真なんていいじゃんって思い直した。

学生時代に、アルバイトでダムの建設工事現場の希少種(クマタカ)調査にいったとき、誰もいない山奥で、山すそを見ていた僕の頭上、はるか雲の上を20羽以上のハクチョウの群れがV字編隊を組んで飛んでゆくのを見たことがあった。

鳥のことをもっと知りたくて、どういう生き方をしようか試行錯誤をしているころのことだ。日本は、動物関係の仕事が海外に比べてずっと少ないから、自分が生きることと親の望みを感じながら、自分と親の間で折衷できる何かを探すことが容易じゃない。ましてやこの僕が、バランスを取りつつ生きようとしていたこと自体、今から考えると無理だったちゅーの。
当時はそんなこんなで、きっと疲れていたのかもしれない。

そのとき僕は、何だか涙が出そうになった。
僕が鳥の研究者になろうとなるまいと、ハクチョウはああやって生きてゆく。
ほれたものの弱みとは違うけれど、普通にそうしか出来ないように淡々とハクチョウをやっているハクチョウに、淡々と自分を出来ない、無理をしている自分がとてもいびつに映ったのかもしれない。

ハクチョウを見ると、あのときの秋の空の高さとか、薄い雲を透かして見えたハクチョウたちのシルエットが浮かんでくる。
今となっては幻聴だったのかもしれないけれど、少し時間を置いてから聴こえてくる、ハクチョウたちの鳴き交わしの声も。

自分に出来ることをちょっとずつ進めてゆくしかないんだけど、ハクチョウがただ自分を生きているように、僕も自分をやっていれば、いつかどこかで接点を持って、僕と鳥が繋がる日が来ると思っている。
by bigbirdman | 2006-11-05 23:19 | ダイサギ |